建築物の経済性を評価する手法として近年LCC(ライフサイクルコスト=LIFE Cycle Cost)の考え方に対する関心が高まり、部材や機器等の耐久性データの整備が進んでいる。これは建てる時に安ければよいという『初期コスト重視』の考え方である。近年この考え方から建築物の全生涯を通じての経済性を重視する『終身コスト重視』の考え方へと価値観が変化しつつある。こうした社会情勢の変化から、建築物をライフサイクルコストで考えることが注目され、現在では種々の手法が提案されるに至っている。
建築物のライフサイクルコストとは、その建築物に要した企画、設計、建設、運用、廃棄に関する総コストをいい、『生涯コスト』とも呼称される。一般に竣工後の運営管理費(保全費、修繕更新費、エネルギー費)は、いわゆる初期投資額(企画設計費、建設費)の数倍の数倍の費用が必要であり生涯コストに非常に大きなウエイトを占めるとされている。